top of page

​気になるお話

​1.生産管理

寸話11

11:受注生産という名の見込み生産

受注生産品が受注時点からで部品・材料手配を開始して生産ができればいいのですが、現実はそうは行きません。リスク覚悟で部品の先行手配やユニット品は加工して在庫を持ったり、途中工程まで進めておいて、最終工程を受注後に残り工程の生産を開始する対応をとる必要があります。

リードタイムの長い電子部品や特殊材料は手配に何ヶ月もかかるからです。全てをゼロから手配していたのでは1年経っても完成しません。また1個だけ欲しい部品も1個で納品してくれる取引先はありません、最低ロット購入となり部品在庫が増えます。

 

顧客が待ってくれる商品ならいいのですが、受注から製品納品までのリードタイムが商談を勝ち取る道具でもあるからです。

寸話12

12:在庫計画は重要です

在庫は少ない方が資金繰りにも納期短縮にも効くので減らすべきですが。持たざるを得ない在庫も発生します。工程設計上どうしても発生してしまう、工程能力差による仕掛、段取り時間による仕掛ではなく、生産計画に反映させるべき在庫計画。例えばP/O変動の吸収在庫、工事停止による前倒し生産、要員不足による前倒し生産による在庫計画です。

​また生産戦略として、確保が必須な材料関連の備蓄計画・在庫計画もあります。レアな材料は備蓄が必要となったり、取引先からの”打ち切り通知"で、慌てて買いだめ計画が必要になったりします。複数の会社から購入できれば理想ですが現実はそうは行きません。代替品の可能性があっても品質評価の結果保証はないので、リスク対応で多めに購入となります。

寸話13

13:需要予測は可能なのか?

先の見えないビジネスの世界にいると、需要予測というものが欲しくなります。販売計画はこれだけ売るぞと言う目標であり、ノルマとなって管理されます。では高額な投資をする時に、何を頼りに投資するのか? 装置や設備によりますが発注から立上げには6ヶ月から1年は必要です。立上げ時には市場が変化しているかもしれません。

販売計画はもし調査会社の市場規模やシェアがあるならば、これを拠り所にして目標として決めていきますが、そのようなデータがなければ自社の経験則と事業計画担当の鉛筆舐めでしょうか?

 

そもそも需要予測は可能なのでしょうか?天気予報は世界中の地上・海上・高層気象の温度・気圧・風データ、レーダーや気象衛星のデータを解析して予測します。販売=購買動向というのは人間の行動ですし、競合の製品にも影響を受けたり、別セグメント商品の影響を受けたり読めない世界です。・・・そもそも世界中のPOSデータすらまともに収集できない状況で、自社の販売実績だけで、鉛筆舐めながら予測らしい計算式を作って使っているが精一杯です。でも拠り所は必要で、投資計画や中期利益シミュレーションをやるためにも販売計画は必要です。

とにかく生産した分は何がなんでもこの数量を売り抜くぞという強い意志と行動が営業部門の使命となります。マーケティングで売るという戦略もありますが、営業活動とマーケティングは両輪です。

 

人の意思が含まれない現象が予測、人の意思が含まれる行動が計画なのでしょう。

製品そのものは意思・目標をいれた販売計画になりますが、その製品に従属する消耗品なら、そこそこの需要予測が可能です。

​2.物流管理・在庫管理

寸話21

21:探す・歩く時間が半端じゃない

物が大きい、種類が多いと広く点在するので探すのが大変です。自動車は広い場所に置いて出荷を待ってます。どうやって探すか?最近ではRFID技術を活用して探します。造船所の巨大な部品も所在管理システムにRFIDを活用してます。

 

一般的に棚で管理する場合は3次元でアドレスを決めて保管してます、システムが保管アドレスは教えてくれるのでる、それに従ってピッキングし搬送します。

 

Amazonの倉庫では24kmも歩くとネットに書き込まれてるのを読んだ事があります。どこまで本当か知りませんが。ピッキング作業者は1日中歩いているのでしょう。アマゾンが搬送ロボット"Kiva"を開発した背景もピッキングの為のこの歩行の多さです。人は歩かず棚を運ぶという着想は自動倉庫みたいに出庫口へ運んでくれる姿を狙ったのでしょう。

寸話22

22:先入れ先出しから期限管理へ

​FIFO(First In First Out)先入れ先出しは大変ですが、品質管理上必須です。小物はコロコン棚で後入前出で対策をとりますが、大物や重量物は床や地面、ラック棚、パレット・ラック棚保管も発生します。置き場にアドレスを決め、保管日と紐づけることで対応します。同じ製品が並んでる保証はないので、新しいアドレスからピッキングするためには歩く時間が長くなります。

 

先入先出管理だけでいいなら、保管日と保管アドレスの紐付けで十分ですが、有効期限・ロット番号・シリアル番号も管理すべき物品だと、医療品のGTIN-128、GS1データマトリックスみたいにバーコード化しないと管理が難しい。自社加工部品や自社加工製品なら色々やりようがありますが、取引先部品・材料の期限管理だと統一・標準化されてないので苦労します。

寸話23

23:AGVはハードよりシステムが重要

汎用の台車・自作台車を牽引するタイプだと、AGV本体は約150〜200万円で売られています、走行管理システムもありますので高い投資になります。

 

工場の環境で誘導線がテープか、磁気棒を埋める方式となり、磁気棒だとレイアウト変更が簡単にはできないので、自律走行方式が欲しくなりますが・・通常工場の生産は固定ルートで繰り返し搬送が多いので、費用対効果だとまだ自律走行機能が必要な場面はまだ少ないと思います。

 

AGVハードよりは走行管理システムが重要です。稼働率が高い、走行ルートが設定しやすい、完成品フリーアドレスに物を運べる、フリーアドレスから引き取れる、装置からの自動要求・自動供給・排出ができる、エレベーターやオートレータを制御して多階層搬送が可能・・・・走行システムが欲しい機能を持ってるかじっくり確認しましょう。

目指したい搬送の姿を描かないと、ハードに目を奪われて購入してしまいます。

寸話24

24:システムと現品の誤差はなぜ発生

​システム在庫と現品の誤差の発生原因は多々ありますが、第一はシステムのストック・ポイントが多すぎる。第二は現品の移動とシステム入力が同期できない。第三は品質問題の保留品が処理されない。どこの会社もこれが三大原因です。

​在庫管理の担当者以外はシステム内の在庫は現品と一致してあたりまえと思っています。システムは足し算と引き算だけですから計算ミスはありません。システムに入力する作業はものすごく面倒です。バーコードやRFIDを活用して入力が不要な仕組みが現場では望まれます。

寸話25

25:RFIDはバーコードの置き換えではない

​流通業界では商品アイテムコードのEANコード(日本はJANコードと呼んでる)が使われますが、工場の工程ではCode39、DataMatrixがよく使われ、部品・材料の部品番号やシリアル・ナンバーに使用されています。文字認識できる、高い所の品物も読める、金属刻印も読める製品もあります。またスマホアプリの進化も楽しみです。

RFID(Radio Frequency Identification)技術は物品に付けた電子タグに書き込まれた情報を非接触で数メートル離れた場所から読み書きできます。しかし導入となると道具は"電子タグとリーダーとアンテナ"だけなのですが、電波のチューニング(反射して読みたくない周辺タグを読んだりするのでアンテナ方向・出力を最適化する)に苦労します。

​RFID技術はバーコードの置き換えではありません。雑誌やTVを見ていると、レジや棚卸の業務効率化・省力化みたいな印象を受けますが波及効果に過ぎません。​リアルタイムで位置情報と動きが把握できる事の効果を最大限に引き出せば、投資対効果ROI(Return on Investment)は非常に大きいと思います。省力化の視点だけでみると投資に躊躇します。RFIDは物のIoTと言われ商品だけでなく・備品・工具・台車あらゆるものに取り付けるとインテーネットにつながり、タイムリーなー在庫調整・生産調整から、物品探し・万引き防止・・・多くのメリットを享受できます。

寸話31

31:連休明けに品質問題が発生する

長期連休明けの生産には要注意です。品質問題が発生する確率が高いです。人間も機械も休み明けは不調です。人は1週間休むと頭の回転が鈍ります。連休前のトラブルの議論をして初日に仕事脳に強制的に切り替える必要があります。機械は電源を落としたら内蔵PC、メカ動作の動きが悪くなります。固着してないか?乾燥してないか?多くの工程が本来あるべき状態に戻っていない可能性が大きのです。エージングをたっぷりさせてなくてはなりません。

品質検査も連休明けは普段より検査項目も数量も増やし品質評価をして欲しいと思います。製造ラインはできるだけ長期停止させないのが一番です。しかし受注の都合で数ヶ月停止、1年停止もあるかと思います。その時は機械品質維持・作業者のために時々稼働させる事と思いますが、1週間でも要注意です。

寸話32

32:規格は変えられないのか?

​神戸製鋼の品質問題、規格に入らないのでデータ改ざん。製品の品質には問題ないと発言する経営者・・・この事件から思った事・・・・

 

なぜ規格を変えなかったのか?なぜ規格に入る対策をとらなかったのか?

 

規格を守るのは当たり前ですが、図面の規格では生産技術的に生産できない事が発生します。試作から量産までの間に何度も工場側から設計部門に設計変更依頼を出します。当然量産が始まっても規格ハズレが多発した場合、工場側で解決できなければ、設計者と議論を重ね対策を決めます。工程改善や規格変更もあり得ます。ただし対策が決まるまでは不良率が高くなり利益を圧迫する事になります。納期に遅れが発生した場合は休日稼働や納期調整をせざるを得ません。

対策(工程対策・規格変更等)には時間が必要だから、利益と納期が優先されたのでしょう。社内の設計者との議論なら結論が早くでるでしょうが、お得意様からの仕様書(図面)で生産している場合の調整は更に多くの時間と労力を必要とします。だからと言って特採(トクサイ)やデータ改ざんではお互い不幸となります。

品質の議論ができるコミュニケーション・体質つくりは注文する側(下流の製品化メーカー)にも責任が多少はあると思います。しわ寄せは全て下請け、QCDを守ればいい、下請けの利益も考える思考がないといい製品はできないと思います。下請け・外注ではなく、パートナーと呼ぶ関係にして欲しいものです。いい製品をつくる仲間。仲間・パートナーが品質で苦しんだら、相互で解決する関係が欲しいものです。

寸話33

33:コミュニケーションが品質をよくする

作業標準、検査標準、メンテナンス標準、品質指示書、先行指示書・・・等多くの帳票があり、現場の作業者はこれらの帳票に従って作業をしています。

​これらの指示書を守りながら作業をするのは大変な事だと思います。作業者は部品を機械に投入したら、次は品質チェックです。数値を読んで帳票に記録してNG・OK判断、官能検査は作業者毎に違う感性のレベル合わせも必要となります。そこへ機械の稼働トラブルが発生、苦労して復帰させたら、次は復帰後の品質チェックです。この品質確認項目は正常稼働中より多めの検査項目になっています。

コンビニのレジの人の仕事ぶりにも感動しますが、作業者の仕事ぶりにも感動します。品質問題の原因には部品・機械・作業者・計測・手順等ありますが、品質保証は作業者に頼ってる部分がほとんどです。指示書や規格の背景、市場への影響を説明したり、日々のコミュニケーションをとる事が大切だと思います。作業者も自分が頼られている事、自分の仕事に価値を感じられます。そして指示書にない作業者の感じる”なにか変?”という情報も得られるような体質になって欲しいものです。

寸話34

34:人を責めると真因が暗闇へ

品質問題の原因は部品・機械・作業者・計測・手順等たくさんありますが、指示書通りにやれてなかった原因も多々あります。ここで作業者を責めるとどうなるか・・・・叱られ責められ、そんな経験やそんな姿を見続けていると、そのうち品質問題の対策の打ち合わせで、作業者が真実を語らなくなります。そして我々は実は違う対策を打っているかもしれない。真因が暗闇へ行ってしまいます。

罪を憎んで人を憎まず・・・過失であり、そこに罪はない・・・この世界だと思います。

ボタンの色や位置が悪いかもしれない・・検査項目が多すぎるかもしれない、指示書が理解しにくいかもしれない、、作業者がミスを犯し易い環境かもしれない、、、指示書に書いてあるから作業者の責任という事ではないと思います

作業者ではなく仕組みが悪いと考える、作業者を責めずに改善策を練る必要があると思います。

寸話41

41:原価と価格の違い

​原価に欲しい利益を乗せて売れる商品は羨ましいです。自動車やZARA/ユニクロみたいな製造小売業なら自社で企画・生産・小売までやってるのでメーカー側に小売価格の決定権がありますが、普通の商品は小売業の安売りに影響を受けます。アパレル業界では小売店に下代は掛率50%じゃないと買わないと言われます。1年も経つと商品価値が下がり価格が下がるので、毎年新製品をだして価格維持を狙います。

 

小売価格が下がる事は折り込んで事業計画は立案しますが、製品メーカーは取引先へのコストダウンも要求して利益確保を狙います。マーケティング視点では高付加価値商品、セグメントに特化、ブランディングで高価格を狙いますが、市場原理としてコストダウンは継続的に続けないと生き残れないのは変わりません。

 

下流から上流までこのコストダウンの影響を受け、中には逆ザヤで売り続ける品目も発生すると思います。苦しい先の見えない業界だからこそ、年間計画・中期計画・事業シミュレーションを可能にする”原価の見える化"が必要で、経営判断の基礎なっているのだと思います。

寸話42

42:コストダウンの推進

原価の見える化と利益構造が見える化の目的はコストダウン活動です。見える化は製品の特徴や会社の状況にあわせ、スピーディに簡易的に負荷を掛けずにやるべきです。

 

コストダウン活動、利益創出活動が推進されなければ”見える化”をしている意味がありません。企画・設計している会社ならば、設計変更がもっとも効果あるコストダウン活動です。五月雨ではなく集中して設計変更すれば効果増大と負荷軽減を狙えます。

​仕様書(図面)をもらって製造している会社は、製造プロセスでのコストダウン活動となります。でも不良多発で苦しむ事も発生します。不良を減らすために得意先と設計変更やコストダウン活動に参画してもらい協業で実施する関係にしたいです。

​推進には強いリーダーシップが必要です。全員が生産に追われて忙しいので、担当を割り振った程度では動きません。重要さを理解しても担当者が軸足を移すのは大変です。若手を割り振っても事務仕事が精一杯です。社長自身が推進する、経営者層が推進する必要があります。

寸話51

51:継続的なムダ削減

ムダ削減活動を一過性で終わらないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?

コストダウン活動と同じで社長や経営者が参画しないと絶対に継続しないと思います。生産・出荷するだけで必死で働いているスタッフの考え方・行動を変えられるのは経営者だけだと思います。朝礼や月一の定例でいくらお話しても、経営者は対岸にいると感じます。現場に来て現場の苦労を知り、一緒に悩み理解してあげる事が必要だと思います。

 

進め方としては、あるべき姿、半年後、1年後の目指す姿を描く事から始まります。すると課題・問題点が見えてきます。改善は製造現場の成果が最初にでるように優先します。その結果生産管理側にしわ寄せが来ても全体最適で進めるべきでしょう。

寸話52

52:月末在庫を減らすと資金は増えるのか?

在庫のムダ削減の成果を経理指標の仕掛回転期間で評価するようになると、経理指標のための指標となり、12月決算会社の場合6月末日と12月末日の在庫を減らす事が行われるようになる。期末だけでなく毎月末も在庫減らすようなります。月末・月初に納品・出荷・生産の波を作る事になるので苦労します。資金効果はあるのでしょうか?

<普段の生活>

毎日妻から100円のお小遣いをもらいます。

冷蔵庫に100円缶ビールの在庫2缶あり、毎日1缶購入して、毎日1缶飲んでますので、毎日お小遣いはゼロになります。

<対策1>

月末最終日は買わずに冷蔵庫在庫2缶のうちの1缶を飲んだら、月末お小遣いが100円残ってましたが、翌月初日に2缶買って、冷蔵庫在庫を1缶から2缶に戻したので、またお小遣いはゼロになりました。月末に残ったお小遣いの100円は使えませんでいた。

<対策2>

冷蔵庫在庫を2缶から1缶に減らす事にしました。すると毎日お小遣いが100円残っていました。毎日100円手元に残ってるので、100円ショップでワイン・グラスを買いました。

寸話61

61:生産管理システムの誤解

生産管理システムの機能を要約すると・・1.受注を受けて数量・納期を管理して出荷する。2.生産計画を入力して構成に従って部品を計算(MRP)して取引先に発注。3.在庫管理機能・・です。多くの機能はありません。最低限の機能です。そしてシステム在庫が現品と合わないと使いもになりません。

 

業種毎に重きが変わり、金属スラグを切削する会社だと部品展開が必要ないので販売管理だけでいいかもしれません。

また生産管理システムだけではとても満足な管理できません。製造工程を管理する機能、例えばトレーサビリティ、製造実績管理、ミス防止、ピッキング、かんばんシステム、ライン別順序計画で部品納品、・・・等はハンドか?別のシステムを作る必要があります。

製品アイテム数、工程、生産数量、構成部品、会社の実力に適したシステムを選定するのは難しい事だと思います。ITベンダーの説明する機能が全て使える事はありませんし、BOM構成も本来3つ必要ですし、設計変更に対応できないとか、・・・ハンドとの組み合わせで仕事をすることになることを理解しておく必要もあるかと思います。

寸話62

62:クラウド型アプリ

販売管理・生産管理・在庫管理は別々でも販売されており。3つセットでもそれほど高くありません。クラウド型アプリがが増え、PCを選ばず、外出先でも仕事ができますし。サーバー不要で毎月の数万円の課金で使えるものがありますので、IT部門が無くても導入には苦労しない時代となっています。

​当然スマホでも見れたりもしますので、今後クラウド型アプリの進化をウォッチする必要があります。机のデスクトップPCで仕事をする時代は終焉に来ているのかもしれません。

bottom of page